水素の使い方 -その2:燃料電池

水素の使い方について、もっとも身近な例は燃料電池かと思います。例えば、燃料電池自動車(燃料電池車での排水?参照)は商用化されていますし、エネファームなどにも燃料電池が搭載されています。今回は、この燃料電池の基本的な部分をまとめておきます。

燃料電池で用いられる反応

燃料電池は、水素を燃料とし、それを酸素と反応させます。水の電気分解(水素の作り方 -その2;水の電気分解参照)の逆反応ですね。総括式は以下の通りです:
2 H2 + O2 --> 2 H2O …(1)
この反応のエネルギー変化は、熱(エンタルピー)で285.8 [kJ mol-1]、ギブス自由エネルギーで237.1 [kJ mol-1]となります。電圧に換算すると、1.23 [V]です。最大で1.23 [V]が取り出せるという意味ですね。実際には、電気抵抗や触媒反応でエネルギーが使われるので、これよりも小さい電圧でしか動作しません。

燃料電池は、例えば以下の2つの半反応が組み合わさって動作します。
水素酸化@陽極:H2 --> 2 H+ + 2 e- …(2)
酸素還元@陰極:O2 + 4 H+ + 4e- --> 2H2O …(3)
両者を足し合わせると、式(1)になりますね。

この酸化と還元をつなぐものとして、固体電解質があります。水素イオン(プロトン)H+が特に素早く動ける膜で、陽極と陰極を挟むと、回路が形成されます。模式図を以下に示します。

scheme-of-polymer-exchange-membrane-fuel-cells

このような装置を、固体高分子(PEM)形燃料電池と呼びます。

水電解の場合(水素の作り方 -その2;水の電気分解参照)と同様に、高温で酸素イオン電導性を発現する酸化物を使った形「固体酸化物形燃料電池」があります。ここでは詳細を割愛しますが、その他にもアルカリ形、リン酸形、溶融炭酸塩形などがあります。

蛇足ですが、燃料供給ポンプや放熱ファンを使うか否かで、パッシブ型とアクティブ型に区分されます。ポンプやファンを使うのがアクティブ型、使わないのがパッシブ型です。パッシブ型では発電セルに燃料や空気を供給するため、アクティブ型に比べて小型になり,そして低消費電力で駆動できるという利点があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。