いろんな国の電源構成

電源構成とは、電源別の発電電力量の構成比を指します。発電方式としては、火力や原子力、水力や風力などがありますね(発電に伴うエネルギー変換参照)。その構成比は主要国でどうなっているのか、また日本は他国と比べて「なぜ」「どのように」違うのかを見てみましょう。

色々な国の電源構成

代表的な国における電源構成を見てみます。

日本の発電量は、資源エネルギー庁がまとめています[1]。他国のデータも合わせて資源エネルギ―庁が取りまとめています[2]ので、そのデータを参照しながら詳細を見ていきましょう。図は、資源エネルギー庁のデータを基に作成した、2017年における各国の電源構成をまとめたものです。

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日本は化石資源の火力発電(天然ガス+石油+石炭)で80.9%に達します。原子力は、2011年を境に減少し、2017年時点では3.1%になっています。残りの16%が再生可能エネルギー+水力によるものですね。※日本は炭素中立の実現に向けて、第6次エネルギー計画では、原子力発電の比率を2030年度20-22%に、再生可能エネルギー(水力含む)を36-38%まで高めるとしています[3]

他の国ではどうでしょうか
ヨーロッパのドイツ・イギリスを見てみると、再生可能エネルギーの比率は高く、30%程度となっています。一方でフランスは70%程度が原子力発電です。これを見て、「日本はやはり再エネの導入が進んでいないからダメだ…」と思ったあなた!少しまってください。日本とこれらの国では事情が違います。

ヨーロッパの事情ー再エネ導入の裏側

右の図は、entsoe (the European Network of Transmission System Operators for Electricity)による、ヨーロッパにおける送電網をまとめたものです[4]

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ヨーロッパ全域に送電網が張り巡らされ、国同士が繋がっていることが分かります。

再生可能エネルギーを導入する際には、そのバックアップを考える必要があります。

  • 太陽光を積極的に導入して、もし曇天が続いたら?
  • 風力発電を導入して、無風の日が続いたら?

蓄電池などを導入して、電力を多く貯められる状況ではなんとかバッファーは出来ますが、それでもこうしたリスクは残ります。そこで、ある程度は火力発電や原子力発電などを維持する必要があります。

ヨーロッパは送電網で繋がっており、国同士で電力を融通しています。積極的に再生可能エネルギーを導入できる理由の一つに、フランスが豊富な原子力発電を有しているから、ということが挙げられるでしょう。各国の電源構成をデータとして把握することは大事ですが、その背景についても考えを巡らせる必要がありますよね。

参考文献

  1. 経済産業省 資源エネルギー庁, "統計表一覧", https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/electric_power/ep002/results.html (accessed on 2022/02/02)
  2. 経済産業省 資源エネルギー庁, "2019—日本が抱えているエネルギー問題(後編)", https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energyissue2019_2.html (accessed 2020/01/10)
  3. 経済産業省 , "第6次エネルギー基本計画", https://www.meti.go.jp/press/2021/10/20211022005/20211022005-1.pdf (accessed on 2021/11/02)
  4. the European Network of Transmission System Operators for Electricity, "Grid Map", https://www.entsoe.eu/data/map/ (accessed on 2022/02/02)

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