太陽エネルギーを使おう!必要になる面積は?

我々は非常の多くのエネルギーを消費しており、その大部分は化石資源に依っています。今後も増え続けていくエネルギー需要を賄うために、積極的に再生可能エネルギーを導入する必要があります(我々はどのくらいエネルギーを消費しているのか?参照)。太陽光を利用する場合、利用できるエネルギーの絶対量は、使用する面積に依存しますよね。どの程度の面積を利用すればよいのかを考えてみましょう。

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全世界のエネルギーを太陽エネルギーで賄えるか?

全世界のエネルギー需要を、太陽光のみで賄うという究極の状況を考えてみましょう。必要になる情報は、(1)太陽光の持つエネルギー密度、(2)日照時間、(3)エネルギー変換効率、以上の3つです。

(1)太陽光のエネルギー密度

太陽光が有するエネルギー密度は、地球の緯度に依存します。赤道直下の部分では強い光が入射する一方で、例えば日本では、光が通過する空気量が大きいため、より弱い光が地表に注ぎます。Air mass 1.5における(=アメリカの平均緯度に相当[1])太陽光の入射エネルギーを積算すると、1003 [W m-2]が得られます。

(2)日照時間

平均日射時間ですが、こちらも国・地域によってばらつきます[2]。アメリカの場合、多くが年間2,000時間台のようです[3]。代表値として、ここでは2,500 [h]を便宜上採用してみます。

(3)エネルギー変換効率

加えて、入射するエネルギー量をすべて利用できる訳でもありませんよね。ここでは、仮に太陽光から、我々が利用する形のエネルギー(電気など)への変換効率を10%とおきます。ちなみにこの値は、一般的な太陽光発電よりも小さい値を採用しています。一般的な太陽光発電の場合、光エネルギーから電気エネルギーの変換効率は、14-20%と言われています[4]。研究開発段階のものは、アメリカNREL(The National Renewable Energy Laboratory)のまとめによれば、47.1%に達します[5]

全世界の1次エネルギー消費量は、約5.6*1020 [J year-1]です(我々はどのくらいエネルギーを消費しているのか?参照)ので、全世界のエネルギーを賄うのに必要な面積は約620,000 km2(=5.6*1020 [J y-1] / 1003 [W m-2] / 2,500 [h y-1] /10 [%])と分かります。約790 km四方ですね。

例えば日本の国土面積は、378,000 [km2]です[6]から、日本の約1.6倍の国土面積に相当します。アメリカの国土は9,628,000 [km2]なので[7]、その6.4%の面積で足りるという計算になります。

日本の消費エネルギーを太陽エネルギーで賄うには?

ちなみに同じ計算を、日本の場合でしてみるとどうでしょうか?

日本における1次エネルギー量である1.9*1019 J[8]を用いてしてみると、日本の年間消費エネルギーを太陽光で賄う場合に必要な面積は21,194 [km2]となります。都道府県別面積を見ると、最も広い北海道の面積83,457 [km2]であり、次いで岩手県が15,279 [km2]とあります[9]。北海道の約1/4を使えばよいが、2位の岩手県全域を使っても足りない、という程度の面積が必要と分かりますね。

参考文献

  1. National Renewable Energy Laboratory (NREL), Statistical Review of World Energy, “Reference Air Mass 1.5 Spectra”, https://www.nrel.gov/grid/solar-resource/spectra-am1.5.html (accessed on 2022/02/03).
  2. How To Journey.com, “[統計]世界・日本の主要都市の日照時間ランキング”, https://howtojourney.com/8657/ (accessed on 2022/02/3)
  3. Current Results Publishing Ltd., “Average Annual Sunshine by State”, https://www.currentresults.com/Weather/US/average-annual-state-sunshine.php (accessed on 2022/02/03)
  4. 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構, "世界一のモジュール変換効率40%超を目指す、太陽電池開発中", https://www.nedo.go.jp/hyoukabu/articles/201111sharp/index.html (accessed on 2022/02/08)
  5. National Renewable Energy Laboratory (NREL), "Best Research-Cell Efficiency Chart", https://www.nrel.gov/pv/cell-efficiency.html (accessed on 2022/02/08)
  6. 外務省, “日本の領土をめぐる情勢”, https://www.mofa.go.jp/mofaj/territory/page1w_000011.html (accessed on 2022/02/03)
  7. 外務省, “アメリカ合衆国(United States of America)基礎データ”, https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/data.html (accessed on 2022/02/03)
  8. 経済産業省 資源エネルギー庁, “総合エネルギー統計”, https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/results.html#headline2 (accessed on 2022/02/03)
  9. 国土交通省 国土地理院, “都道府県別面積の順位”, https://www.gsi.go.jp/common/000077733.pdf (accessed on 2022/02/03)

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