日本におけるエネルギー消費は、国内の再エネで賄えるか?

我々の社会で利用するエネルギーを、究極的には再生可能エネルギーで賄わなければなりません。日本だけに注目した時、国内エネルギーを再エネで賄えるのかを見てみましょう。

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注目すべき数値は、以下の2つですね。

  • 日本が消費するエネルギー量
  • 日本でとれる再生可能エネルギー量

日本はどれほどのエネルギーを消費しているのか?

日本が消費するエネルギーは、経済産業省・資源エネルギー庁が“総合エネルギー統計”にまとめています。公表済みの最新版は、2019年度のものですね。それによると、1次エネルギー量の合計は1.9*1019 [J]です[1]

なお、このうち電力は、3.3*1018 [J]とあります[1]。この電力消費量は換算すると約9300億 [kWh](= 3.3*1018 [J] / 3600 [J Wh-1] *10-3 * 10-8)に相当します。2018年度以前の推移は、資源エネルギー庁のページ[2]にまとめられていますね。2000年台後半に約10,000億 [kWh]を超えているのを境に、以降2010年台では年々減少傾向にあるようです。

日本でどれだけ再エネ発電ができるのか?

では次に、再生可能エネルギーで発電できる潜在量を見ていきます。

再生可能エネルギーと一口にいっても、太陽光、風力、地熱など様々あり、そしてそれぞれに適所があります(再生可能エネルギーの利用にまつわる問題点参照)。日本における発電潜在量は、環境省が取りまとめており、例えばREPOSという再生可能エネルギー情報提供システムが準備されています[3]。そしてそのデータは、環境省の資料[4]にまとめられています。その環境省試算によれば、導入ポテンシャル量として、72,861億 [kWh]とされています。

つまり、日本の発電ポテンシャルは、日本における電力需要の約8倍に相当しますね。

そしてこの導入ポテンシャル量は換算すると、2.6*1019 [J](= 72,861億 [kWh] * 3600 [J Wh-1] *103 * 108)になります。この値は、年間1次エネルギー量である1.9*1019 J[1]よりも大きいです。

国内の再エネで足りるということ?

ただし、これはあくまで「潜在量」であって、それを実際に使うためには技術的・政策的なハードルが存在することは忘れてはいけません。実際、おそらく「経済性を考慮した導入ポテンシャル」に相当するのだと推察しますが、環境省試算では26,186億 [kWh]にも言及されています[4]。この値を採用すると、日本の1次エネルギー量には届きません。

また、電力以外の形態として再生可能エネルギーを活用する場合には、エネルギー変換による損失が発生しますよね。ですので我々が使えるエネルギー量はさらに目減りします。安定的に国内のエネルギー需要を賄うには、国外からのエネルギー輸入はやはり必要だといえるでしょう。

参考文献

  1. 経済産業省 資源エネルギー庁, “総合エネルギー統計”, https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/results.html#headline2 (accessed on 2022/02/03)
  2. 経済産業省 資源エネルギー庁, “第4節 二次エネルギーの動向”, https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2020html/2-1-4.html (accessed on 2022/02/04)
  3. 環境省, 再生可能エネルギー情報提供システム[REPOS(リーポス)], https://www.renewable-energy-potential.env.go.jp/RenewableEnergy/ (accessed on 2022/02/04)
  4. 環境省, “環境省地球温暖化対策課調査 わが国の再生可能エネルギー導入ポテンシャル”.

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