エネルギー貯めるいろんな方法を比較 -その4
「エネルギーを貯めるいろんな方法を比較」シリーズの記事 第4弾です(過去の記事はこちらから→その1、その2、その3)。水素を軸に考え、「いかにその体積重量密度を小さくするか」を考えてきました。
今回も、エネルギー密度の具体値を比較してみます。
ガソリンのエネルギー密度はどのくらい?
エネルギー密度が高く、使いやすい…そうしたものとして、ガソリンがあります。ガソリンの値を例にして、各種エネルギーキャリアのエネルギー密度を見てみましょう。
ガソリンはのエネルギー密度は、6.0 [kcal g-1] でした(エネルギーを運ぶ:エネルギーキャリアとして水素?参照)[1]。体積ベースに直せば、33.36 [MJ L-1]です[1]。自動車の50 [L]タンクにガソリンを満タンにする場合、総エネルギー量は1.7 [GJ](= 33.36 [MJ L-1] * 50 [L])です。密度として0.74 [g mL-1]を採用すれば[1]、これは約37 [kg](= 50 [L] * 0.74 [g mL-1])の重量を持つことになります。
まとめると、ガソリン 50 [L](=37 [kg])は1.7 [GJ]のエネルギーを有します。
ガソリンと、各種エネルギーキャリアの比較
これを他のエネルギーキャリと図で比較します。体積に着目し、次のような図が描けます(文献[2]を参考に作成)。
等量のエネルギーを獲得するためには、液化アンモニアは96 [L]、有機ハイドライド(=メチルシクロヘキサン)は210 [L]、圧縮水素では190 [L]が必要であり、これは気体水素だと140,000 [L]にも相当することが分かります。ここで取り上げた中では、液化アンモニアが最も体積密度は大きいですね。
同じ図に、リチウムイオン電池を入れています。体積は770 [L]と大きいですが、それよりも目を引くのは、重量1,900 [kg]です。自動車に搭載する場合を考えると、ガソリンでは37 [kg]で済むものが、リチウムイオン電池を搭載する場合には約2トンの重量がかかってきます。ちなみに、乗用車の車重は約1トンです。電池のエネルギー密度の小ささは、電気自動車をどう使うか?という点において重要な要素となってきます。
参考文献
- 石油連盟, “換算係数一覧”, https://www.paj.gr.jp/statis/kansan/ (accessed on 2021/10/07)
- Y. Sekine, PETROTECH 2021, 44, 255.