二酸化炭素の再資源化 -その2:排ガスからの回収
地球温暖化の原因とされる二酸化炭素ですが、例えば「水素化反応」によって再資源化することができます(二酸化炭素の再資源化 -その1:二酸化炭素から何が作れる?参照)。クリーンな水素の作り方はいくつかのポストで述べました。例えば、水素の作り方(その1、その2,その3)などです。
一方で、その二酸化炭素はどこからどうやって持ってくれば良いのでしょうか?大気からの二酸化炭素回収を見る前に、まず工場などからの排ガス回収についてみておきます。
二酸化炭素を回収するプロセス
工場などで二酸化炭素を回収するプロセスとしては、大きく3つ挙げられます。
1. Post-combustion
炭化水素やバイオマスなどを空気と反応させて燃焼等したのちの排ガスから、二酸化炭素を回収するものです。多分、一番一般的なものとして認識できるんじゃないでしょうか。
2. Pre-combustion
これは、燃焼前に二酸化炭素を分離してしまうものです。石炭やバイオマスを使うときに用いることができます。まず、これらの原料をまずガス化して、水素と一酸化炭素に変性させます。例えば以下のような反応を起こします:
C + H2O --> CO + H2 …(1)
2 C + O2 --> 2 CO …(2)
※なお、水素と一酸化炭素の混合ガスは合成ガスと呼ばれます。これは、FT合成によってガソリンなどを人工的に作る際の原料となります。
Pre-cumbusstionではここで生じた一酸化炭素を、まず水と反応させ、二酸化炭素へと変化させます。
CO + H2O --> CO2 + H2 …(3)
この排ガス中から、二酸化炭素を除いてやります。水素と二酸化炭素の混合ガスなので、分子サイズも異なり、分離がしやすいですね。得られる生成ガスは水素を多く含み、これをつかって熱や電力需要を賄います。
3. Oxyfuel
1で述べた方法と関連し、炭化水素を燃焼させた後で二酸化炭素を回収します。1では空気と反応させると述べました。空気は窒素と酸素の混合物ですから、窒素が存在する分だけ、出口ガスの二酸化炭素濃度は低くなります。そこで、空気ではなく高純度の酸素を使い、出口ガスを高純度の二酸化炭素にする方法がoxyfuelです。空気から酸素を分離するときには深冷分離を用いますが、コストが高くつくことから、これまであまりおこなわれていないようです。
二酸化炭素を回収する要素技術
例えば、oxyfuelでは高純度の二酸化炭素が得られますが、post-combustionやpre-combustionでは、二酸化炭素を含む混合ガスが排ガスとして出てきます。その混合ガスからいかに二酸化炭素を分離回収するかについてみていきます。
大きく4つあります[1]。
A. 吸収
ある物質に二酸化炭素を吸収させます。その後、吸収した物質に熱をかけて二酸化炭素を取り出します。代表的な物質は、水酸化カリウム(KOH)やアルコールアミンですね。
B. 分離
二酸化炭素を通すが、他の分子を通さないような膜を使って分離します。
C. 固体吸着材
大きな表面積をもつ材料に吸着させます。例えば、炭素材料や、ゼオライトがこれに分類されます。
D. 深冷分離
低温でガスを液化させ、液化温度の違いで分離します。
1および2をA-Dと併用させることで、工場では二酸化炭素を分離回収されています。長くなってしまったので、大気からの二酸化炭素回収は、別のポストで取り上げます。
参考文献
- B. Metz, et al., Carbon Dioxide Capture and Storage, 2005.