水素の使い方 -その1:概要
水素はこれまでにどう使われてきて、そして将来期にはどう使われていくのでしょうか。今回の記事では、水素の使われ方に焦点をあててみます。
おさらい1
再生可能エネルギーから作った電気を、使うまでためておく、もしくは使う場所へ運ぶために、エネルギーキャリアを使っていく必要がありました。
エネルギーキャリアの必要性について;再生可能エネルギーの利用にまつわる問題点参照
エネルギーキャリアシについて;エネルギー貯めるいろんな方法を比較(その1、その2、その3、その4、その5)参照
おさらい2
そこで核となる物質に「水素」がありました。水素はいろんな方法で作ることができます。例えば、未利用の褐炭をガス化して、副生する二酸化炭素を回収・利用できれば、ブルー水素が作られます。水の電気分解を再エネ電力を使って操業すれば、グリーン水素が作れます。
水素の作り方について;水素の作り方(その1、その2、その3)参照
今回は、ではこの水素をどうやって使うのか、を見ていきます。
水素の使い道
データ[1]を参考に、現在の水素用途を図にまとめました。
半分以上がアンモニアに使われています。アンモニアは、ほぼ9割が硝酸アンモニウム(硝安)へと転換されます。
NH3 + HNO3 --> NH4NO3 …(1)
この硝酸は、人口を支える肥料として欠かせません。
次いで大きな割合を占めるのは、石油精製です。石油は酸素を含む炭化水素ですが、そこに水素を作用させることによって、不純物を取り除いたり、望む構造へと転換させたりしています。
こうしてみると、我々の生活において欠かせない物質と分かりますね。
これらの需要は既存のものですが、今後の新たな水素の使い道が次々と考えられています。例えば、
- 燃料電池自動車に代表される燃料電池利用(燃料電池車での排水?参考)。
- 暖房利用に欠かせない、メタンを作る原料。
- 火力発電の燃料としての直接利用
などが挙げられます。これらの詳細は、別のポストにまとめます。
参考文献
- Argonne National Laboratory, https://ceeesa.es.anl.gov/news/HydrogenMarkets.html (accessed on 2020/03/25).(原典:SRI 2004)